ゲームブックの思い出

中学生のとき、ということは20年以上前、80年代半ば、ゲームブックに夢中になった。いつも喧嘩する弟とも、ゲームブックに関しては喧嘩をせずに貸し借りをしたり、ヒントを教えあったりしていた記憶がある。
どんだけ夢中だったんだろう、と苦笑してしまう思い出の一つがある。13歳のとき。タイトルはすっかり失念してしまったのだが、富士見書房から出ていた一冊をプレーしたところ、ある選択肢を選ぶと戦いなどがあるわけでもないのにバッドエンドしてしまう、ということがあった。これが当時の俺には納得できないことだった。旅が強制終了されてしまう。いや、例えば、「足元が崩れて穴に落ちて死んだ」とか書かれていたら、納得はしないものの「死んだら終わりだよな」と思えただろう。でも、(ああ、手元になくて引用できないのが悔しい!)そこにあったのは、「君は遠くへと歩き去った」というような記述でその先の選択肢がない。え、これで終わり。おかしいよ。死んでもいないし、旅は中途半端だし。で、まあ、釈然としなかった俺は、その本は「不良品」なんだと思った。選択肢が印刷されていない不良品。それでその本を買った西荻北口伏見通りにある今野書店に持っていって*1、若い店員に「これ、不良品なんですけど」と上記の「不具合」を告げた。ページを繰りながら説明する俺を、店員はどんな顔で対応してただろう? 記憶は曖昧だ。でも、たぶん困惑してたと思う。俺としてはその場で店員が出版社に問い合わせてくれると思い込んでいたが、そんなことはなく、確か「ウチではわからないから、直接出版社に問い合わせてもらえるかな」というような答えだった気がする。で、俺は結局その本はほったらかして、創元文庫のほうがちゃんとしてるな、という結論に達したのだった。
もう一つよくおぼえているのが、入院した友だちへの見舞いの品でゲームブックを買っていった、というエピソードだ。でも、それは単純な思い出で、クトゥルーものを買っていったら、その後退院した友だちが「すぐ死んじゃうよ、あれ」と感想を述べた、というものだ。入院している人には鉢植えとクトゥルーもののゲームブックは持っていってはいけない、という教訓。

*1:ちなみに俺が小学生のときにはまだマンガにはビニールがかぶせられてなくて立ち読みし放題だった。俺はいつも今野書店で立ち読みしてて、俺の帰りが遅いとウチの母親は今野書店に電話をかけて、店員が俺に声をかける、ということもあった