キョンシーマジックについて(3)

「え、キョンシー?」
「そうだよ」
学校からの帰り道、小野芋子が突然中国のゾンビのことなんて言い出すから、綾小路宮子は心臓の鼓動が早まるのを感じてしまった。怖い話だったらごめんだ。本気でそう思った宮子は、小野芋子の両親が面白半分で自分の息子の名前を「芋子」に決めたという本当にあったひょうきんな噂話を思い出すことで、恐怖をうち消そうとした。それは成功した。宮子はその後五分ほど腹を抱えて笑い続け、会話が途切れてしまった。
(つづく)