『王の帰還』

はじめに結論を言い、それから色々考えよう。
『旅の仲間』は普通に面白かった。『二つの塔』は間違いなく傑作だった。『王の帰還』は普通じゃなく面白いが、傑作ではなかった。
なんでだろう?
指輪物語』であるのに、ペレンノール野での合戦がメインとなっているからだろうか? 一緒に観にいったS女史は、「そこがいいんじゃない〜い」(cみうらじゅん)と言っていたが、俺としてはやはりフロド、サム、ゴクリ(ゴラムね)の物語をもっと描いて欲しかった。
どうせDVDでは、劇場版よりで削られたシーンが復活するんだろうけど、でもフロドがシェロブに刺された場面は原作とは違うのだろう。原作ではたしか、サムはフロドが本当に死んだと思い込み、代わりに指輪を運ぼうとする。
映画では、あっさりとサムはフロドが仮死状態であることを知り、救出する。そのぶん、サムの旅の重みは軽くなっている。
いや、充分に重いのはわかっている。サムがフロドを背負う場面。俺は劇場でボロボロと涙を流してしまった。
そう、文句を言いたくなってしまうのは、「これでおしまいなのか……」という寂しさだ。『マトリックス』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とはまるで格の違う三部作であることを見せつけた『ロード・オブ・ザ・リング』だったが、実はこれは小さな映画がたくさん集まった、「続き物」だったんじゃないのかな。
たぶん、一番ふさわしい興行形態は、1時間ものとして毎日プログラムをかえて、いつでも映画館に行けばやっている、というものではないだろうか?