うまくまとまらないが

今更だけど……今回のイラクの人質問題について。
善意から出た行動がすべて正しいとは思わない。しかし。
電車の中吊りを見ていたら、「拉致被害者の責任問題」というタイトルがあり、すっかり暗い気持ちになってしまった。被害者の責任? え、犯罪行為をした人を責めるんじゃないんだ……。
なんだろう……彼らが軽率であったことと、イラクの政情不安とが同次元で語られている……そんな印象がして、不愉快だ。
一部の報道で、彼らの家族の一人が共産党員であるとかないとかいうことが話題になっていた。
はぁ?
関係ないだろ。
それなのに、「ああ、そういうことなのか」としたり顔をする連中がいる。あたかも、それで自分の良心が痛まないかのように。
あるいは、政府関係者の発言を聞いていると、イラクの問題に対する日本の政治的な立場は、こう決まったんだから(それ以外の政治的立場の)「素人」はひっこんでろ、というふうに聞こえないか?
民主主義の多数決というのは、最後に採用された意見が他の少数意見を抑圧していい、ということではないだろうと思うのだが……。
そして、そのことと、彼らが軽率であったこととは、別の次元の問題であるのに……。
覚悟をして行くかどうか、というのは行く本人たちの問題だ。「勧告をしているのだから、行くな」「それでも行くというのなら、覚悟してゆけ」というのは、自分と政治的に立場を同じくしていない連中のしたことについて、知らぬふりをしたい連中が、自己正当化のアリバイのための発言であるように感じられてしまう。
雪山遭難との比較? イラクの今の状態は、自然現象ではないだろう。
ああ、うまく言えないのだが、今回の拉致被害者に対する感情的な否定論によって、なにか別の問題から目を背けようとしているように感じるんだ。
彼らを責めることで、イラク問題が「既定」の何かになろうとしていないか?