アフリカケンネルの関根も闘犬してたんじゃないか?

知人のYさんから聞いた話。
Yさんの友人は、ヤクザにはなりきれないチンピラだった。心優しく、しかし非常識な行動を繰り返す彼はいくつかの組を転々として、いまは刑務所に入っている。逮捕の顛末がまた面白いのだが、それはまた別の日に書こう。
彼と闘犬の話を書こうと思う。
ヤクザと闘犬の話はここなんかにも書いてあるとおり。
彼がいたある組の組長も闘犬にはまっていた。そこで、彼は組長から、闘犬の世話するように命じられた。
世話を始めたとき、その犬はまだ子犬だった。心優しい彼は、大切にその犬を育てた。組長の犬とはいえ、毎日接しているのは彼なのだから、犬は彼に慣れるし、彼も犬に愛着を持つようになった。
ところで、闘犬に必要なのは闘争心である。通常、闘犬を育てるときには、餌を抜いたり、日常的に暴力を加えたりするものなのだそうだ。虐待しつづけることで、ストレスを与え、凶暴な犬にしたてあげるのだという。
Yさんの友人は、組長の犬を可愛がりつづけた。
そして、ついにその犬が試合に出場することになった。
ご想像のとおりである。
相手の犬は押さえつけるのも大変なほど興奮し、さわるものみな傷つけるとがったナイフのような状態で、盗んだ校舎でバイクの窓を割っていた。
が、Yさんの友人が世話をした犬は、ニコニコと尻尾を振っている。




……試合が始まってすぐに、その犬は相手にかみ殺されてしまった。


……そして彼は、組長の逆鱗に触れて、組を追われる身となったのだった。