お座敷列車の会

西武新宿線沿いに、俺が通ってた高校はある。
学内の掲示板にはよく、「バスの後部バンパーにつかまって帰ってはいけない」とか「学食のしょう油さしにゴミをいれないように」とか、そういう注意書きが貼り出されていた。
近隣の住民たちには、その非常識な行動ゆえに、かなり嫌われていた。
そんな高校の中に、ひっそりと自らを「ジーニアス集団」と称するアホたちがいた。
俺の先輩たちだ。
彼らは例えば、石神井公園の池で泳いでみたり、忍者の格好をして走る山手線の外にぶらさがったり、学園祭の舞台で金魚を飲んでみたり、そんなことばかりしていた。
そんな彼らの主要な活動に、「お座敷列車の会」というのがあった。
西武新宿線の普通電車を勝手に「お座敷列車」に仕立て上げ、宴会をするという会だ。
酒を飲み、隣の車両に一人ずつ行っては一般の乗客に向けて一発芸をする。
ダダイストだったんですね。
……という話を不意に思い出したのは、最近一緒に仕事をしている人が、高校時代に「お座敷列車の会」と同じことをしていた、ということを聞いたからだ。
彼は、東武東上線でやっていたらしい。