奇妙なバイト

S女史に聞いた珍妙な話。


S女史の会社の後輩が、休み明けひどく疲れた様子で出勤してきた。
聞けば、休日に変なバイトをしたという。
大学時代の友人とチャリで散歩してたら、前方で両手を広げて、「お前ら、止まれ!」と叫んでいるおっさんがいた。
あきらかにヤクザとわかる風体をしている。
「やばい」と思いながら二人が停まると、「おい、お前ら、金欲しいか?」と聞かれた。後輩君は逃げ出したかったが、友人君はプータローで金に困っているので、「はい!」といい返事をしてしまったらしい。
ま、友人だけ行かせるわけにもいかないよな。で、後輩君もついてゆくことにした。
池袋の雑居ビルに連れて行かれた二人は、指示されるまま、とある部屋から大きな荷物を運び出し始める。中身がなんなのかわからないが、とにかく大きくて重い荷物だ。それをトラックにのせてゆく。いつまでたっても終わらない。仕事の中身もさることながら、依頼主もやばいので、後輩君はずっと逃げたくてしかたがない。
「もしかしたら、この後、どこかに連れて行かれて、タコ部屋に入れられるんじゃないか」という恐怖にとらわれる後輩君。
しかし、友人君は金に目がくらんで、嬉々として働いてくる。


ま、それだけの話なんだけどね。
結局、そのヤクザらしきおっさんは、二人に一万円ずつ渡して、「ありがとな」と去っていったらしい。
後輩君はSEらしいが、珍しい肉体労働にへとへとになったらしい。