観たよ、『ソドムの市』@UPLINK X(2月10日)

いやあ、こういうことってあるんだな。
こういうことって?
友人の感想を散々聞いて、観ないうちからわかったような気になっていて、いざ観てみたら「面白いじゃ〜ん!」ってこと。
当たり前じゃない?
いやいや。誰も、カツ丼のこと、言ってなかったもん。俺さ、出てくる食い物がうまく見える映画って無条件に肯定しちゃうんだよ。あんなに下品にカツ丼をかきこむ役者たちを観たら……西荻に帰ってきて駅前の富士そばで450円のカツ丼慌てて食ったよ。
あの「腹がへっているのか?」って場面、ありゃ、「大審問官」だね。人はカツ丼のみにて生きるにあらず、ってキリストなら言うけどさ、大審問官は「そんなふうに人間に自由を与えるな」って言うんだよ。
そりゃさ、くだらないギャグが満載で、それでなくても4人ほどしか入っていない会場は、さらに寒くなったよ。
だけど、カツ丼の魅力が描けていればオッケーでしょ。人間は、カツ丼程度で自由をなげうつんだ。自由ってなんだ? 自らを律することだ。選択することだ。カツ丼で自由を捨てた連中は、マブゼな市の混乱に、疑いをはさむことなくついていける。すげえ。あのカツ丼の美味そうな感じで、すべてに説得力が生じたよ。
あと、あれだ!
B29だよ。ああ、巨大だったんだ……。恐ろしい。巨大なものが空中に出現することの恐怖、これはJホラーではなかったことでしょ。そうなんだよなぁ。ここで、ホラーとSFは出会うと思うんだ。クトゥルフもね。そうそう。そういう点で言ったら、『発狂する唇』のラスト、巨大な影がやってくるでしょ。あれは、つまり、この『ソドム』におけるB29だったんだな。