君は新幹線のチョッパー席に乗ったことがあるか?

深町先生*1がこっそり教えてくれたんだけどね。新幹線にはチョッパー席というのがある。背もたれははじめから後ろに倒れていて、前の席の背中からバッファローの角のようなハンドルがはえている。深町先生はそのハンドルをつかんで、自分が新幹線を運転するような気持で、山形から来るらしいんだよね。
もちろん、俺らのような、ヘタレは乗ることができない。
チョッパー席に乗れるのは、肝っ玉のすわった運び屋だけだ。つまり、チョッパー席は、非合法鉄道ってことだ。鉄道警察は、いつだってチョッパー席の乗客を見つけ出しては、撃ち殺している。有名なところでは、柳城湖事件というのがある。あれは、チョッパー席の乗客を、南部のおっさんのふりをした関東軍が撃ち殺そうとしたっていう事件だ。とはいえ、自作自演だったっていうから、ひどいもんだ。
だけど、深町先生も、その席には不満もあるそうだ。
東北新幹線の車内アナウンスってあるだろ? テレテレテレテレテ〜レテ〜レレ〜ってやつ。チョッパー席に座るとさ、ステッペンウルフの『ワイルドで行こう』が、あんな感じで、テ〜テレ〜テ〜テテテテ〜って激安の音で鳴るんだ。あれには、我慢がならねー。殺す」
そんな深町先生も、新幹線のサイドカーにはあまり乗らないそうだ。
新幹線の外側についてる、あれ。
「風になりたい」とか言って、熟年夫婦が乗ることの多いサイドカーだけど、もうね、風がババババーって顔を叩いて、ひどい面相になるんだよ。その上、体重移動をちゃんとやらないと、新幹線が倒れるからね。命がけ。


あと、スロウストンって人が深町先生に、「ワス、子どものころ、トロッコに乗ってね〜。夢中になって遠くまで行ったらひどく孤独になって(しみじみ)……。これって、短編小説向きじゃない? 先生もこういうの書いたらいいと思うよ。印税はポイントでいいっスよ」なんて言ってたけど、あれは、芥川龍之介のパクリじゃないかな。絶対にスロウストンって人のオリジナルじゃないよ。ホント、あの人、すぐパクるから気をつけないといけないと思う。