間違った性知識(2)

子どもの頃、自分のおなかの臍が母親とかつてつながっていたんだ(①)、と教えられても、俄かには信じられなかった。
というのも、生まれる前、自分が母親のおなかの中にいたんだ(②)、ということも(おそらく同時期に)教えられていたからだ。
俺は、①について、まず向き合った状態の俺と母親が、臍の緒でつながっているのを想像した。
で、そうすると、②の状態が想像できなくなった。
まさか、胎盤でつながっているとは想像できなかった俺は、赤ん坊は臍から生まれる、と仮定してみた。
母親の臍というのは、実は奥で袋状になっている。その袋の底で、赤ん坊は臍の緒によって母親とつながっている。生まれるとき、母親の臍が大きく広がって、袋が押し出されて、裏返しになる。
ちょっと複雑だが、このように考えれば、①と②は同時に成立するのではないかと俺は思ったんだ。
でも、算数が得意だった俺は、「証明というのは、複雑すぎる場合、たいてい間違いが含まれている」と知っていたから、自分の想像のどこかに瑕疵があるとは予想していた。しかし、論理的思考だけでは、この問題の解を見つけることはできなかった。