『ドッグヴィル』と『草原の輝き』(DVD)

ドッグヴィル』のラストは、神とキリストの対話なのか?
キリストは「人はパンのみにて生きるにあらず」と言ったけれど、この映画のニコール・キッドマンは「人はセックスのみにて愛するにあらず」と言う(いや、そういうセリフはないが)。愛は自由であるときにのみ、成就する。肉欲という「受難」に隷従するとき、そこには「愛」はない。
と、そういうことなのかな、と考えたのは、イワン・カラマーゾフによる『大審問官』を読んだ直後だから。
ところで、この映画のラストで同時に思い出したのは、浅草キッドが「浅ヤン」でやっていた「水戸黄門」のコーナー。周富徳が、そのへんのラーメン屋に身分をあかさずに弟子入りして、なにも知らない店主に怒鳴られる、という内容のコーナー。怖かったな、あれ。
『草原の輝き』は、思春期のモヤモヤが人生に大きな影響を与えるという内容の映画。
結局結ばれることのなかった二人が、お互いに別の人と結婚し、そして再会したときのセリフにどきりとさせられる。
「幸せ?」
「幸せについては考えないようにしてるんだ」
……。