『求塚』@シアタートラム

少し遅刻して行ったら、演出の都合上15分ばかりロビーで待たされた。客席側からの登場だからだったみたい。しばしモニターで観劇。変な感じ。
能の「求塚」を題材に、現代劇を作り上げるという企画。題材となった能を観ていないので、根拠なく言うしかないのだけれど、「現代」にアレンジするというより、「時事」を取り上げるために引っ張り出したような印象だった。
あるニュータウンを舞台に、そこで10年の周期で起きた二つの幼児殺害事件が、その土地の「神話」を浮き彫りにしてしまう、というもの。土地、血族、新興住宅地、相互監視……となにやら最近流行りのキーワード(といっても、この10年ほどの流行か?)がちりばめられている。
ふと浮かんだのは、『SOIL』かな。
見所、というほどのことではないけれど、舞台の中央に穴があいていて、気づいたらそこに水がたまっていた。いまはもう、埋められてしまい公園となった場所に、かつては竜神にまつわる池があったことが明らかになる頃、ふと観客はそこに本当に池が出現していることに気づかされる。その「ふと」という感じが、よかったといえば、よかった。過去が滲み出すような感触?