『ヴァン・ヘルシング』@吉祥寺オデオン座

変な映画。
ヴァン・ヘルシングは主役であるはずなのに、主役に見えない。なにしろ頭が悪い。女吸血鬼を殺すために聖水が必要であることになかなか気づかずに、効果のない矢を数に任せて射続ける冒頭であきれてしまった。フランケンシュタインの怪物を、ドラキュラが必要としていることを知るのは偶然だし。
だけど、なにより奇妙なのは、ドラキュラは狼男が苦手だという設定で、クライマックスを盛り上げようとするところ。
その事実を知ったヴァン・ヘルシングが、仲間に引き止められながらも、危険を覚悟で狼男に噛まれて自分も狼男になり、命と引き換えにドラキュラと戦う……というのなら、なにか悲壮な雰囲気も漂うが、実際にはそれは思いがけない傷の結果でしかなく、その後、狼男とドラキュラの関係を知るというのだから、なんとも滑稽だ。
ヴァン・ヘルシングというキャラクターが、モンスター退治のエキスパートで、自らの知恵と力を駆使してドラキュラと戦い、そして勝利する……という映画を期待して行ったら、それがヴァン・ヘルシングでなくてもよかったんじゃないか?と思える狼男とドラキュラの肉弾戦を最後に見せられたら、そりゃ困惑するよ。
変な映画。