安彦麻理絵『コンナオトナノオンナノコ』

コンナオトナノオンナノコ (Feelコミックス)

コンナオトナノオンナノコ (Feelコミックス)

ずいぶん久しぶりに読んだ安彦麻理絵は、ちょっと変化していた。30歳を間近に控えて結婚に憧れて焦燥感に駆られている女と、「素敵な旦那様」と「可愛い娘」がいてみんなにうらやましがられているのに、それは自分ではないと感じている女、その二人のささやかだけれど、冒険的な日常が交互に語られる。ささやかなのは、これが誰にでもあてはまるような物語だから。冒険的なのは、これが主人公たちの魂の生き死ににまつわる物語だから。
最終話は、とても感動的なんだけど、本当は最後のコマでは、「再会」をキチンと絵にして欲しかった。もしその絵があったとしたら、これは安彦麻理絵にとっての『自虐の詩』になっていたんじゃないか?
自虐の詩 (上) (竹書房文庫ギャグ・ザ・ベスト)

自虐の詩 (上) (竹書房文庫ギャグ・ザ・ベスト)



安彦麻理絵の「あとがき」も、ちょっといい。

「幸せ」は正直いって、やはり永遠には続かないんであった。(中略)そのドン底も、これまた永遠には続かず(なんだか知らんが、不幸もチャンと終わるんですよねえ)。(中略)そーゆーふーに、幸とか不幸に対して、かなりズーズーシイ態度がとれるようになったのは、トシのせいでしょうか。

うんうん。わかるな。
でも、これ、このままの言葉では、10代だった俺には伝わらないよな。どうしたら伝わるかな?と考えるのが、いまのテーマ。