『ボーン・スプレマシー』@吉祥寺スカラ座(昨日)

nishiogikucho2005-02-21

ジェイソン・ボーン、強ぇ。と、感じるのは、マット・デイモンがすたすたと無表情に歩くところ。追っ手がすぐそこまで迫っているのを察知して、周囲の状況を冷静に把握して、するべきことをしてただ歩く。
例えば、ベルリンでかつての同僚を訪ね、殺してしまう場面。すでに通報はされている。死体の処理と、逃走路の確保をしなくてはならない。ガス栓を開け、トースターを簡易発火装置にする。カットバックで追っ手が近いことが示される。ボーンはそれをわかっている。だから焦らない。すべての準備が整うと、ボーンは慌てて走ったりせず、大股ですたすたと裏庭を歩いて現場を離れる。


つまり、スーパーマンなんだよね。例えば、『ダイ・ハード』のブルース・ウィルスを思い浮かべてみる。猫背の警官が思い浮かぶ。猫背でこそこそと走る。たまに背筋をのばしていても、壁にぴったりと背をつけている印象。


背中の曲線の具合、これがアクション映画のヒーローの具合なんだな。


ところで、物語について。あまりに謎解きがあっさりしていたな。
というか、期待していたのはさ、はじめはお互いに敵同士だと思っていたボーンとCIA職員が、電話での会話だけからお互いの真意を知り、いつしかタッグを組んで、真の敵の罪業を暴く……みたいな感じだったんだけど、そういうのこそ陳腐? そうかもね。でも俺、まあ、今書いたのとはちょっと違うけど、『ザ・シークレット・サービス』好きなんだよね。あれは、追うイーストウッドと、追われるマルコビッチが、いつしか立場を超えて、二人だけの関係を築く物語だったよね。
そういうのがあれば、『ボーン・スプレマシー』のラストも、もう少しぐっときたんじゃないかなぁ、とないものねだり。