宇宙ではあなたの悲鳴は聞こえない

というわけで、俺は宇宙がとても怖い。怖いんだけど、というか怖いから、宇宙に興味がある。
以前『フルムーン』という写真集を見たときも「うわ、こんなところに取り残されたら……」と震えましたが、更に恐ろしい写真集が出ました。少し前に出版されたみたいだけど、一昨日購入しました。
ビヨンド
タイトルがまた……『BEYOND』って、アンタ……。「彼方」でしょ。ラヴクラフトの『彼方より』からとったの?


で、この写真集を見ていてゾッとするのは、ふとした瞬間に気づくからなんだよね、「ああ、これは人間の視線じゃないんだな」って。無人惑星探査機による写真だから。


ちょっと話がずれるけどさ、監視カメラの映像が恐ろしく感じられるのと似ている。
それは、「もしかしたら、いま自分には見えていないドアの向こうでは、世界が崩壊しているかもしれない」っていう感覚を喚起するからかもしれない。
あー。説明しにくいな。
この場合、「崩壊しているかもしれない」って部分は重要じゃなくて、「見えていない」って部分が大事ね。
昔、大学の授業で、「人類が絶滅したあとも風景は存在するのか?」っていう問いかけがあったんだけど、その質問が含んでいる恐怖にも似ている。
多分、現象学的には、「そのときには、『風景』は存在しない」んだろうけど、物理的には、「客観的な『風景』は存在する」ってことなんじゃないの?(テキトーだから突っ込まないように)


だからね、この写真集、脳内設定としては、「人類が絶滅したのちも、律儀に宇宙の彼方より写真を送りつづける無人惑星探査機による写真集」として見ることができて、そう考えると、「じゃあ、誰がこの本を編集したんだろう……」と恐怖に震えることができるってことです。