今年に入ってまだ三本

といっても、一本目は二度目の『キング・コング』でした@吉祥寺オデオン。


ロード・オブ・ドッグタウン』@シネマライズは日曜日の最終回に行ったら、1000円でやんの。くそ。そうだった。泣く泣く前売り券で入場したよ。
昔、俺、長髪だったんだよね。肩まで長くワンレンで。ステイシーってキャラクターを見ていて、「俺もあんなふうにかっこよかった」と妄想してたら、連れに「お前は金八だろ」と情け容赦のないつっこみにしょんぼり。
この映画、だけどやっぱり他人事じゃない感じがしたのは、サーフィンショップのおっさんの振る舞いが、俺のよく知っている西荻の親父たちにそっくりだから。いい年をして万引きしたり、ファミレスで騒いで店員と喧嘩したり、自分のパーティで気に食わないことがあると屋根に上ってボードを地面に投げつけたり……。外見はおっさんでも、中身は幼稚園児。「最近俺んところに顔ださないじゃないか」とか言って15、6の少年たちのたむろする場所にやってきてからむとこなんて、ウチの親父にそっくりじゃないか!
そうか! 西荻はドッグタウンだったんだ!


『輪廻』@吉祥寺東宝。いったいどういう着地の仕方をするのかと観ているあいだ、ずっと頭をフル回転させていたけど、まさかああ来るとは……。きっと地獄についての考察の結果がこれなんじゃないかな。ほら、地獄が満杯になると死者が地上をあるくでしょ(ロメロ教授の研究報告による)? だから、この映画の死者たちも、正しくゾンビ・ウォークを披露していたんだと思うよ。あふれかえった地獄に直面した人間は、きっとあんなふうになるんだろうね。
で、その地獄に直面した人間の映像をじっと見つめる被害者の一人、という場面が後半にあるんだけど……うわぁ、悪意に満ちてるなぁ。あの表情。観客席の俺らの居心地が最高に悪くなる。すごい、と思った。メジャーな映画で観客をどんよりさせている。悪意を描いた映画ではなくて、映画が悪意そのものになっていた。
そういえば。劇中の映画監督・椎名桔平の人物造形も、悪意に満ちてたなぁ。あれは、ミスディレクションの狙いもあったと思うけど、あんなデリカシーのない監督ってなんなんだ? モデルがいるのかな? 助監督が役者に配慮して、汚い床に直接座らなくてもいい、と言っていることにたいしてキレるって、頭おかしいんじゃないか?
ま。しかし。頭おかしい人を演じるのって、大変だ。だって、正気の人が「演じる」しかないんだから。頑張れば頑張るほど、「頑張っている」ようにしか見えないんだよな。演劇と映画の演技の違いっていうのは、こういうところで出てくるのかも知れない。誰か、演劇に詳しい人、そのへんの考察をしてみて!
なんだか久々に『リング2』を観たくなったな。