『マイナス』

で、悪意といえば、これでしょう。まさか、あの社会問題となったエピソードがこうして日の目を見ることがあるとは思ってませんでした。俺は正直、「沖さやか」時代の山崎さやかの漫画は好きではなかった。というか苦手だった。それは、誰にでもある思春期の自意識の一番薄汚い側面、つまり「誰も傷つけたくない」という「正論」を盾にした自己保身の仕組みを描き尽くしていたからだと思う。
そういう意味で、『さくらの唄』のロマンティシズムは、思春期男子にとっては心地よいものであった。
なんにしても、『マイナス』は傑作です。