『ドライブイン カリフォルニア』(日本総合悲劇協会)@下北沢本多劇場

片桐はいりの腹はどうなのか? 不細工な顔は舞台で売りになるが、あの腹はどうかと思う。ちょっとひいてしまった。
松尾スズキの芝居を観に行くのはずいぶん久し振りだが、なんだか淡白になったような気がしたな。
平和そのものであるような町に、人為的に災厄をもたらすことで活性化をはかる。そんな奇習の中心となる一家を巡る物語……なのだが、それが奇習に感じられない。いや、まあ、盲目の男が畑に火を放ったり、人を襲ったり、レイプしたり……というのは、大変なことだが、もう俺らはそういう物語をいくつも知っているし、共同体がそのような奇習を欲望するということもさんざん言われている。この芝居でも、家族の欠損が、いくつかの悲劇を通過することで、再生へと至る。
じゃあ、どこに松尾スズキの芝居の面白さがあったんだろうと考えると……思い出せないんだよな。というのもあんまり観てこなかったから。
なんだ、じゃあ、あまり論評するようなこともないな。
松尾スズキが、悪意をもった役として後半で登場するのだが、そこになにか土着ではない狂気を感じないでもなかった。
あとは、あれだ。ヘリコプターに向かって、思わず手を振ってしまう中村トオルに、不意打ちを食らって吹き出してしまった。ずるいよ。
それにしても、みんな笑いすぎだ。笑いを求めて来ているのはわかるが。