『バトル・オブ・エクソシスト』

バトル・オブ・エクソシスト──悪夢の25年間 (Kawade Cinema Books)

バトル・オブ・エクソシスト──悪夢の25年間 (Kawade Cinema Books)

『バトル・オブ・ブラジル』みたいなタイトルだけど、原書タイトルはシンプルに『THE EXOSIST』。原作者ウィリアム・ピーター・ブラッティと監督ウィリアム・フリードキンの「バトル」を期待すると、肩透かしを食らうかもしれない。
まあ、大体、作り手の「意図」なんていうのは、「思い入れ」みたいなもので、実際には映画の面白さとは無関係だったりする。『エイリアン2』だって『ブレードランナー』だって、最初の方がよかったと俺は思う。


この本で面白いのは、単純にフリードキンという人のキャラクターなんじゃないか? 『エクソシスト』にもフリードキンにもそれほど思い入れのない俺は知らなかったんだけど、フリードキンっていうのは強烈な人なんだね。「興行師」タイプの人だ。ブラッティの「作家性」との対比が面白い。真面目なブラッティは、真剣に神学的な「狙い」を死守しようとするけど、対するフリードキンには観客を飽きさせない映画を作るという以外に狙いはない。
俺がフリードキンを見習いたいと思ったのは、観客に映画の中身にだけ専念させるために(宙吊りのワイヤが映っているかどうかを血眼になって探そうとする鬱陶しい観客を減らすために)、こんなことを言うところ。

リーガンの身体が宙に浮かぶ場面は、「強力な磁場の応用で撮影した」などと平気で言ってのけていた