『カペタ』と『インファナル・アフェア』の日曜日

もともとは『ベック』が目当てで手にした「月マガ」に載っていた『カペタ』。そのとき読んだエピソードは、今回確認したら2巻の途中ぐらいだったが、それまでのいきさつを知らずともぐぐっと引き込まれてしまった。定番なのかもしれないけれど、「実はものすごい才能の持ち主が、それと自覚しないうちからその実力を無意識に発揮してしまい、それを見抜く師と出会う」という場面。そこを「おお、すごい子がいる! 誰だ、あれ?」とするのではなく、クールな美人である(ここではまだ)謎の女がうっすらと微笑を浮かべながら「アタマええ子やな」とさらりと言う、という演出をしているのに好感を持つ。
今回はじめて頭から読んでみて、初見のときの興奮は感じられなかったけれど、面白いことに変わりはない。
以前この人が「スピリッツ」で連載してたバレエもの(だっけ?)は興味がわかなくて読まなかったのだが、面白いのだろうか?
インファナル・アフェア』、みんなが指摘してることだろうけど、このタイトルは絶対に損をしている。まあ、いまさら原題をそのままカタカナにするような手抜きはやめろ、などと言ったところで、なにが変わるというのでもない。それでも、普段映画に関心を持たないようなお客さんにも「見てみようかな」という気にさせるタイトルを考えるというのが、配給会社の最低限の責務だと思うのだが……。というような気にさせてくれる映画。ああ、こんなに面白い(かつ「萌え〜」な)映画、映画好きの連中だけのものにしとくのは惜しいよな。ぜひいろんな人に「たまたま」観て欲しい。そう、「たまたま」出会うというのが本当は大事なんだよな、こういう映画。
で、言っちゃうとたくさんのご都合主義が横行している映画です。潜入捜査官と警視がそんな無防備なところで接触するか? とか、マフィア側のスパイも映画館なんかでファイルのやり取りしたらまずいだろ、とかね。
が、そんなことどうでもいいんだよ! ほんと、言い訳じゃなくて、本当に面白い娯楽って荒唐無稽でしょ? いや、トンデモとかいって擁護するのは邪道。そうではなくて、正々堂々と荒唐無稽。それで観客をウットリさせられるのが王道。
とにかく、トニー・レオンアンディ・ラウの顔をじっと見つめていると、「ああ、スターっていうのは存在するんだな」と感じられる。